当研究室では5つのグループに分かれ、ロボットをはじめとする機械システムへの制御理論の応用を研究しています。

 

 

AVGAutonomous Vehicle Group:運転支援・自動運転班

AVG班とは

AVG(Autonomous Vehicle Group)班は運転支援システムと自動運転システムの研究を行っているグループです。 国土交通省によると、自動車の事故は9割がヒューマンエラーによるものだとされており、自動運転の実用化が求められています。しかし、実用化にはまだまだ課題があり、運転支援システムの発展と自動運転の課題解決が自動車の事故を減らす一番の近道であると我々は考え、事故を無くし快適な移動を実現するという目標のもと研究を行っています。

研究内容

 運転支援システムはドライバーと人間が自動車の運転を協調しておこなうシステムです。近年、レーンキープアシストなど運転支援システムは実用化が盛んになり、なじみの深い技術となっています。運転支援システムによりドライバーの精神的肉体的疲労のどちらも減少したという研究結果もあり、疲労による自動車の事故減少効果が期待されています。そこで我々は運転支援システムが人間に与える影響に着目し、ドライバーの運転技術向上を促す運転支援システムや、ドライバーが自動車の制御に対して違和感を感じない支援システムの実現を目指しています。また、大量の車両走行データを用いたドライバーの熟練度の判別を行い、熟練者の経路設計の抽出を試みています。

 自動運転システムはドライバーが自動車の操作に関与しないシステムです。そのため、システムが自車の位置推定、リスク回避、軌道生成、車両制御を正確に行う必要があります。日本では高速道路の渋滞時のみを対象とした自動運転などから実用化が進むようです。しかしながら、通常走行時や一般道走行時ではまだまだ課題も多く、その実用化技術の開発が期待されています。我々の研究班では先行車と車間を維持しながら追従するアダプティブクルーズコントロールの改善、自動軌道生成時のリスク回避アルゴリズムの研究を行っています。

 

 

企業と共同で、初心者でも操作しやすいクレーンの研究をしています。

クレーンに揺れ止め制御を実装することで、安全かつ効率的に作業を行うことができます。そのうえでオペレータの操作を邪魔しないような制御系の実現を追求しています。製品化に向けて日々研究を重ねています。

 

 

BCGBilateral Control Group:遠隔操作班

BCG班とは

近年のロボットは、単純な指令通りに動くものだけでなく、人間と協働するものが増えています。
BCG班では、遠隔操作ロボットの制御手法の1つである、バイラテラル制御について研究しています。
また、人間の生体信号を用いて、ロボットを人間に適応させて、その意図通りに動かす制御の研究も行っています。

研究内容

遠隔操作ロボットの制御法の1つである、バイラテラル制御について研究しています。バイラテラル制御は、操作者の指令通りにロボットが動くだけでなく、ロボット側からのものに接触している力の感覚などを操作者に伝えることができます。宇宙や深海など、人間が直接作業することが難しい環境で必要とされています。
下の動画は、実際に設計したバイラテラル制御系で遠隔操作を行っている様子です。
下段のアクチュエータに連動して上段のアクチュエータがスライドし、環境に接触した力感覚が下段にも伝わるようになっています。

比較的廉価で性能の異なる2つのアクチュエータを用いて、広可動範囲かつ高精度に制御可能な2ステージシステムの構築を行っています。

1.可動範囲が広いが、運動制御の性能が低い汎用マニピュレータ(一段目)
2.可動範囲が狭いが、高速・高精度で運動可能なリニアアクチュエータ(二段目)

位置によって手に伝わる感覚が異なり、仮想空間上にあるゴムボールに触れているような体験ができます。(右図参照)

このシステムを用いて、高精細なハプティックインターフェースの実現を目指しています。
また、遠隔操作への応用を目指しています。

動物が筋肉を動かすときに発生する筋電信号を用いて、ロボットを制御する研究をしています。筋電信号はロボットを制御するための入力情報として注目されており、将来的には身体機能を拡張させるロボットアームなどの制御に筋電信号を用いようとしてます。
筋電信号は実際の動作が始まるよりも速く検知することができるため、人間の意図を早くロボットアームに伝えることができます。

こんな人にオススメ

筋電信号を用いた研究や、人間と関わるロボットに興味がある人はぜひBCG班にお越しください。
また、自分で設計した制御系をすぐに実機で試してみたい!新規で立ち上げたい研究がある!と思う方にもおすすめです。

 

BMIBig data and Machine Intelligence:機械学習とハードディスク

BMI班とは

 過去の情報を保持できるRecurrent Neural Network(RNN)という深層学習技術を用いて消費電力の推定手法や故障予兆検知を研究しています。また,現在はビッグデータの保管用のストレージとして使用されているハードディスクドライブ(HDD)の位置決め性能向上に取り組んでいます。

研究内容

 外気温や設定温度、室内人数など現在の状態から消費電力がどのくらいになるのか推定します。気象データや運用データといった事前に知ることのできる情報をRNNの入力データとし、消費電力の推定をします。冷房暖房問わず、年間を通して推定できるようにすることを目指しています。

 一時的にデータを記録しておく媒体として用いられているHDD(ハードディスクドライブ)について研究しています。一般用途ではSSD(ソリッドステートドライブ)が普及してきていますが,HDDにはデータ容量あたりの単価が安く、大容量のデータを記録しておくことが出来る利点があることから、現在でも大規模なデータセンターでの記憶媒体として使用されています。そんなHDDの高速かつ高精度な位置決めを実現する制御について研究しています。

 油圧アクチュエータは自動車や航空機、ロボットなどの機械装置に広く使用されており、高い信頼性が求められています。しかし、使用環境や作動条件によって、アクチュエータの故障が発生することがあります。故障が発生すると、機械装置の正常な動作が妨げられるため、事前に故障を予知し、適切なメンテナンスを行うことが必要です。
本研究では、塵芥車の油圧シリンダ付近と車体側面で計測した加速度データをRNN-AE(再帰型オートエンコーダ)に入力し、データの内部表現を取得します。取得した加速度データの内部表現から油圧シリンダの異常な振る舞いをするパターンを検出し、油圧シリンダの故障を予知します。

こんな人におすすめ

 研究ではデータから分析を行ったり,伝達関数からどのようなコントローラを設計するかなどの分析力が求められます。また,この班に所属することでニューラルネットワークなどの深層機械学習や制御工学について詳しくなることができます
機械学習に興味がある人や古典制御に興味のある方はぜひBMI班にお越しください。

 

HCRHuman Collaborative Robot:人協働ロボット班

HCR班とは

HCR班は、人と協調して動作するロボットの制御について日々研究しています。
現在は、大きく分けて人間と機械の協働と高機能モーションコントロールの2つの内容について取り組んでいます。

研究内容

 

 

人間と協調して動作するロボットに関してその制御の研究をしています。

具体的には、
・ロボットを操作する人間に対する負担を軽減する研究
・人間が違和感を感じることのない可動範囲の制限手法
の研究を行っています。

ロボットを操作する人間に対する負担を軽減する研究では筋電信号から人間の行う操作を予測してロボットを動作させることで、人間に対する負担を軽減します。

インピーダンス制御されたロボットに関してロボットを遠隔で操作する研究をしています。

具体的には、VRヘッドセットを使用して仮想空間上に表示されたロボットを操作することで、現実に存在するインピーダンス制御されたロボットを操作します。

 

 

 

 

 

直列弾性アクチュエータ(Series elastic actuator, SEA)を用いた、パワーアシスト機能付き人協調ロボットについて研究を行っています。
SEAは衝撃に強く、より正確で安定した力制御が可能であるなどの利点があります。
右図はSEA機構を用いた先端の位置決め制御の実験動画です。

 

 

デルタロボットを用いた、2ステージアクチュエータシステムの研究をしています。
デルタロボットとは、3つのモータとリンク機構を使って高速高精度に動くことができるロボットです。デルタロボットと汎用マニピュレータを連結し、連携して動作させることで、廉価で高い性能を持ったロボットシステムの構築を目指します。

 

LRGLocomotive Robot Group:移動ロボット班

LRG班とは

近年では、様々な場面で人間と協働して作業を行うロボットの活躍が期待されています。
LRG班では生物の優れた能力や構造をロボットの設計に取り込むことで、移動ロボットの性能の向上を図ることを目指しています。
また、最近では移動ロボットに関わりのある研究だけでなく、ドローンや地雷に関する研究なども行っています。

研究内容

ペンギンのよちよち歩きはかわいいだけではなく、他の陸生脊椎動物と比較して効率的であるという報告があります。
そこで本研究では、ペンギンのよちよち歩きを二足歩行ロボットの歩行に適用することで、安定かつ効率的な歩行アルゴリズムの提案を目的とします。

下の動画は、ペンギンの骨格に基づいたモデルを用いた運動学シミュレーションです。このシミュレーションでは、姿勢を維持した状態での床の姿勢角の変更に伴う足先の位置を決定しています。

足場の状況に左右されずに、点検・測量・農業・警備・物流など様々な活動が可能なドローンの需要は増加し続けています。

本研究では、目的に応じて機体の状態を変化させることで様々なシーンでの活動を可能とする新たな機構について研究しています。動作や周囲の状況に合わせて機構を変形させることで、ドローンの俊敏性や耐風性、安定性の向上を目指しています。

台車型ロボットの上にマニピュレータが搭載されている、移動マニピュレータについて研究しています。移動マニピュレータは、移動ロボットによる作業領域の広さと、マニピュレータによる精密な作業性能の両方の利点を兼ね備えたロボットです。自動化が進んでいる工場などでの活躍が期待されています。
左図は実際に研究で使用している移動マニピュレータです。
このロボットを用いて、人間と同じ空間で作業するための制御について研究しています。

四足歩行ロボットは、不整地における安定性が高く災害時や未舗装の地形での利用が期待されています。
本研究では、四足歩行ロボットの歩容生成に機械学習を取り入れることで不整地における走破を目的に研究を行っています。

現在、世界中で行われている対人地雷除去の手段として、金属探知や地雷探知犬を利用したものが多く行われています。
このグループでは、人為的に行う地雷除去に対して機械学習を用いることで、従来では人でしかできなかった感覚的な作業をロボットに行わせることを目的に研究しています。

こんな人にオススメ

生物のこんな動作を実現してみたい、移動ロボットやドローンに興味がある人はぜひLRG班にお越しください。

 

 


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